1 いちはらアート×ミックス2017について
(1)事業の評価について
芸術祭開催の背景と目的は、前回の芸術祭をきっかけに地域で芽生えた自主的な活動や連携を通し、地域の里山団体、町会やJA市原市、商工会議所などの各種関係団体の力を結集し、会場周辺だけではなく、市原市全域の活性化へとつなげることであると理解していますが、開催のコンセプトはどうであったのか伺いたい。
経済部参事 開催のコンセプトでありますが、アートイベントによる集客効果を最大限に生かし、そこを訪れた人々を、地域や教育、農・商工、観光など、様々な分野と結び付けていくことにより、交流人口の増加や消費の拡大といった地域振興・産業振興につなげていくことであり、さらには、その好循環を市全域へ波及させていくことでございます。
具体的には、児童・生徒の芸術祭への参加、地域の伝統行事や飲食店との連携、小湊鉄道をはじめとした観光資源の活用など、地域や関係者等と一体となった取り組みにより、活性化を目指したところでございます。
大きなイベントであるので、計画を実行した後のことを、どのように評価をして見直し改善をしていくのかということが、とても重要であると考える。評価の基準は来場者数のほか、ボランティア・町会の方々の意見などが考えられるが、どのような手法で行うのか。また、いつまでに評価をする予定なのか伺いたい。
経済部参事 芸術祭の評価の基準・手法でありますが、来場者数や事業収支等について集計し、数字上での実績の確認を行います。
このほか、経済波及効果、来場者の受け入れ、広報・宣伝、交通計画、組織体制などの面からも、来場者や協力いただいたボランティア・町会、関係団体の皆様からのアンケート結果を取りまとめ分析した上で、課題等の整理・検証を行います。
そして、今年の秋頃を目安として、これらを総括報告書として取りまとめ、いちはらアート×ミックス実行委員会へ報告し、ご意見を頂く予定であります。
(2)事業の効果について
今回の芸術祭では、特に授業の一環として参加された小学生や中学生にとっては、直接芸術に触れることができ、とてもよい取り組みであったと思う。また、今回の目玉であった、小中学生に鑑賞パスポートを配りそこからの波及効果を狙うという企画が功を奏したものと考える。
教育現場からの意見や感想などその反響はどうであったのか伺いたい。
経済部参事 教育委員会が実施しました、会場へ来場いただいた学校へのアンケート結果によりますと、現代アートの作品には、平面的な作品だけでなく、立体的な作品も多く、様々な芸術作品に触れることができ、子供達にとって良い学びの場となったとの感想が寄せられております。
中には、想像していたよりも、児童が興味関心を示し、良い見学・体験の場となったという声や、旧白鳥小学校などでは、同じ小学生が描いた絵を鑑賞でき、子供たちには大いに刺激となったとの声もございました。
このほか、見学だけでなく、アーティストや地元の高齢者、ボランティアの方々とのふれあいもあり、楽しく充実した時間が過ごせたという感想もございました。
芸術鑑賞は、感性豊かな心を育む上でも、大きな効果があり、教育の面からも今回の芸術祭が寄与できたものと考えております。
地域に関して、前回のアートミックスでは町会との連携不足が課題としてあったが、今回のアートミックスにおいては町会の方々との連携がうまく取れ雰囲気が変わったように感じた。また、産業面では、食の充実は前回からの課題であり、まだまだ充実しているとは言えないように感じた。そして、観光面では、近隣市町村との連携した小湊鉄道の里山トロッコ列車をはじめとしたローカル線の旅や里山体験など、多くの交流人口が生まれたと感じている。
これらのことについて、どのような取り組みをされ、どのような効果が生まれたと感じているのか、伺いたい。
経済部参事 今回、会場周辺の地域の方々に一人でも多く参加をいただくため、事前に、近隣町会や里山団体へ何度か足を運び、芸術祭の目的や内容について、丁寧な説明を行うとともに、受付案内業務へのサポートについて、協力をお願いしたところであります。
その結果、各会場で地域の方々と来場者とが笑顔で交流する姿が生まれたほか、地域の方々からも、会場に足を運びやすくなったという意見もいただきました。
次に食につきましては、JA市原市をはじめ、里山団体や地元の飲食店の皆様を主体に、地元で採れたタケノコやワラビなどの山菜や、畜産団地の豚肉など地元産食材を使ったメニューを御用意いただき、お客様に市原の春の味を楽しんでいただきました。
観光面では、小湊鉄道の里山トロッコ列車、養老渓谷の温泉、市原ぞうの国、南総里見八犬伝ゆかりの宝林寺のほか、地球磁場逆転期の地層、房総さとやまGOでの君津市濃溝の滝など、話題の観光施設とも連携した取り組みに結びつき、お互いに相乗効果を発揮することができました。
(3)今後の取り組みについて
今回の体制を十分検証し、次回に向けて実態に合わせた組織体制に拡充していくことが大切だと考えます。職員の健康管理や組織管理の面からどのように考えているか、ご見解をお伺いします。
経済部長 「いちはらアート×ミックス2017」の開催にあたりましては、前回の課題を踏まえ、その解決を図るべく取り組んでまいりました。
特に、地域の皆様の参画を図るとともに、アーティストとの意思の疎通、様々な関係団体等との連携の拡大、市内外に向けたPR活動などに積極的に取り組んだところであります。
また、この取り組みを推進していくため、全庁的な協力体制の下に、アート×ミックスの運営を行ってまいりました。
このような中にあって、担当職員一人ひとりが、確たる使命感を持って、このアート×ミックスをとおした地域の活性化に専念してくれたものと考えております。
しかしながら、担当職員の勤務実態を勘案いたしますと、職員には非常に重い業務になったものと 認識しております。
今後、「いちはらアート×ミックス2017」の検証を行ってまいりますが、アート×ミックスに限らず、事業の実施にあたりましては、その進め方や 手法を十分に精査・検討し、行政が担う事務や業務量に見合った組織体制と職員配置について、関係 部局と綿密な協議とともに、部内における流動的 配置をより柔軟に活用するなど、職員の健康管理を含め、勤務環境の整備に配慮してまいりたいと考えております。
市原市観光振興ビジョンでは、アートを活用した観光地づくりを行うとしているが、この進め方として、本市単独で取り組むのか、近隣市町村と連携して魅力を高めていくかについて、見解を伺いたい。
経済部参事 今回のアート×ミックスでは、外部から参加したアーティストだけでなく、「地域プロジェクト」として、千葉市や茂原市、大多喜町、いすみ市などの中房総エリア、本市と同様に里山を観光資源としている君津市などから、クラフトの販売や体験教室、飲食店など、広域連携による出店をいただき、来場者にも好評を得ました。
このように周辺自治体と連携することにより、提供する観光メニューやお土産品などの受け皿が増え、観光客の満足度を高め、滞在時間の増加につながるとともに、事業者にとっても、販路の拡大につながるなど、地域経済の活性化に結びつくものと考えております
今後も、「世界に一番近いSATOYAMA」の魅力を高めるために、観光資源や人的資源の相互補完を行うなど、君津市や大多喜町をはじめとし、周辺自治体との連携の推進を図ってまいります。
観光振興に対するアートミックス事業の市長の思いを伺いたい。
小出市長 本市の観光振興を図る上での戦略の一番は、里山や地域人材、小湊鉄道、ゴルフ場、歴史・文化など、本市の持つ多彩な地域資源を活かすことであります。
そして、戦略の二番目は、こうした資源の魅力を伝える、ひとの力による地域主体のおもてなしであります。
今回の、里山を舞台にした芸術祭「いちはらアート×ミックス」では、南市原のさまざまな地域資源を活かしながら、約2万人の小・中学生を含む多くの市民、団体、事業者の皆様の力が結集されたことにより、郷土愛や地域活性化への意欲が育まれ、まさに「誇りの創生」に繋がったと考えております。
加えて、広域連携では、県内の多くの自治体から芸術祭に後援をいただくとともに、千葉市・四街道市を含む県内21の市町村で、全小中学生へのチラシの配布についてご協力をいただきました。
このほか、周辺自治体で活躍する団体や店舗の出店など、住民間・事業者間での広域連携の輪も広がりをみせ、多くの人達が参画した、笑顔あふれる「おらがまちの芸術祭」となったことで、「地域振興」と「産業振興」を昇華させることができたものと感じております。
私は、これからも、芸術祭で培ったこうした様々な力を生かし、各種観光振興策を展開していくことで、産業と交流の好循環を生み出し、新たな価値の創造につなげてまいります。
2 消防力の強化について
(1)消防団員の確保策について
本市においても、消防団協力事業所表示制度や災害支援団員制度を導入され、団員の入団促進や職場環境の整備をされておりますが、これまでの取組と、消防団員の確保策についてお伺いします。
消防局長 地域防災の中核的存在であります消防団員の確保及び職場環境の整備は、非常に重要であると認識しております。
本年6月1日現在における、これまでの取組といたしまして、はじめに、消防団協力事業所表示制度につきましては、平成20年度から導入し、事業所の協力や理解をいただき、27事業所を認定して消防団員の活動しやすい環境の整備に努めております。
次に、災害支援団員制度につきましては、平成27年度から導入し、75名の消防職団員OBの方々に入団していただいております。
また、平成24年度から消防団員の資格要件である年齢上限を撤廃したことにより、95名の方々に活動していただいているところでもあります。
さらに、ポスターの掲示や各種行事の際のパンフレットの配布に加え、広報誌や消防局ホームページへの掲載なども行い、地元消防団の入団促進活動を支援しております。
これらの取組などにより、消防団員の確保策につきましては、一定の効果はあったものと考えますが、団員定数の充足率を大きく改善するまでには至っていない状況にあります。
今後におきましては、これまでの取組を継続しつつ、昨年度から千葉県が実施している高校生に対する消防団の啓発活動に参加するなど、若年層にも広報の範囲を広げるとともに、消防局及び消防団で構成する検討部会において、様々な角度から消防団員の確保について検討してまいります。