令和3年第2回定例会で代表質問いたしました

1 市長の市政運営について
(1)千葉県及び千葉市との連携について
熊谷知事と小出市長がこれまで築かれた関係性や信頼関係を、これまで以上に市原市政へ反映させるべきと考えるが、

市長の考えを伺いたい。

小出市長 私は、市長就任時より、多様化する市民ニーズや、市域を越えた人々の生活行動に対応するためには、様々な分野において、周辺自治体との連携は欠かせないものであると考え、それぞれの首長と対話を進めてまいりました。
千葉市においても、総合戦略の中で、周辺自治体との連携による「“ちば”共創都市圏」を示しており、共に広域連携による取組を進めてまいりました。
千葉市とは、子育て、経済、観光などの分野での連携事業を実施し、継続して、組織的に活発な意見交換を行っております。
本市と千葉市は、通勤・通学や商業などの人の流れの観点から強い繋がりがあり、地域課題を解決するために、引き続き、市域を越えた連携によりお互いの強みを活かして取り組んでまいります。
また、本市と千葉県においては、本市は広域であり、石油化学コンビナートの立地、里山など、多様な地域特性があるため、日本の縮図、千葉県の縮図と言われており、あらゆる魅力があり、あらゆる課題があります。
現知事とのこれまでの関係を活かして、県と連携して本市が先駆けて課題解決を図り、その成果を県全域に波及させ、持続的な発展につなげてまいります。

千葉県知事、千葉市長ともに交代して間もないため具体的な取組はされていないと思うが、小出市長が考える今後の千葉県、千葉市との具体的な連携について、何かお考えがあれば伺いたい。

小出市長 令和3年4月、臨時千葉県議会における知事あいさつでは、市町村と連携した危機管理体制の強化を図り、日本一災害に強い「防災県」の確立を掲げられました。
市原市にとっても、市民の安心・安全を守ることは、最優先課題だと考えております。
本市には石油化学コンビナートや県の消防学校が立地しており、地域防災力の強化について、県との連携が大変重要と考えておりますので、その連携の強化に積極的に取り組んでまいります。
また、本市と千葉市は、県内の水道事業のあり方について、統合・広域化に向けた勉強会などで意見交換を行ってきたところであります。
水道事業の統合・広域化については、経営基盤強化の観点から国が推進していることも踏まえ、その実現に向けて、引き続き千葉市と共に、千葉県と協議を進めてまいります。
さらに、本市と千葉市は共にジェフユナイテッド市原・千葉のホームタウンであることから、スポーツ分野での連携のほか、歴史・文化においては、「(仮称)市原歴史博物館」の開館を来年秋に迎えるにあたり、本市の史跡から出土した貴重な遺物の教育的活用などで、県、千葉市と連携してまいります。
千葉県、千葉市とのこれまでの関係性をより強固なものとして、本市の地域課題の解決、ひいては県全体の課題解決に向けて、様々な分野で具体的な取組を進め、連携の効果を最大限発揮できるよう取り組んでまいります。

(2)市原市SDGs戦略について
「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選定されたことは、本市にとってどのような効果が期待できるのか、伺いたい。

企画部長 具体的には2点、「国からの強力な支援」及び「新たなステークホルダーとの連携」といった効果があると捉えております。
1点目の「国からの強力な支援」につきましては、SDGs未来都市に選定された自治体に対して、自治体SDGs推進関係省庁タスクフォースによる強力な支援を受けることができます。
具体的には、一つが財政的な支援であり、今年度の「自治体SDGsモデル事業」の支援のほか、次年度以降も各省庁の支援施策等の活用に関する助言をいただけます。
また、技術的な支援として、本市の取組に対する有識者や各省庁からアドバイスなど、手厚い支援も受けることができます。
2点目の「新たなステークホルダーとの連携」につきましては、本市の取組を国内外へ発信支援いただくことで、SDGsに対して先進的な自治体として本市が注目されることにより、様々なステークホルダーの目に留まり、新たな連携の創出につながるものと考えております。
今後は、「SDGs未来都市」選定の効果を最大限発揮できるよう積極的な取組を進めてまいります。

「SDGs未来都市」として、私たち市民はどのように関わっていけばよいのか、また、市としてどのように周知していく考えなのか、見解を伺いたい。

企画部長 市民の皆様におかれましては、まずはSDGsに関心を持っていただき、今後、本市の「自治体SDGsモデル事業」に掲げる各種事業を進める中で、興味・関心がある事業に参加し、SDGs達成に向けた行動につなげていただきたいと考えております。
具体的には、プロジェクト1「市原発サーキュラーエコノミーの創造」では、実証事業が開始した際、各家庭にある使用済みのポリスチレン製品を分別し、搬出していただきたいと考えております。
プロジェクト2「里山・アートを活かした持続可能なまちづくり」では、里山の保全や観光地づくりなど、地域団体や市内外のサポーターとの連携した取組への参加、プロジェクト3「子ども・若者の貧困対策」では、活動する各種団体への支援や参加などを考えております。
市としましては、市民の皆様が各種事業に積極的に参加いただけるよう、事業の進捗状況や参加募集について丁寧に広報するとともに、身の回りの地域課題に関心を持ち、SDGs達成に向けた具体的な取組に参加いただけるよう、出前講座の活用など、積極的に周知活動に取り組んでまいります。

2 まちづくり施策について
(1)市街化調整区域における建築制限について
平成21年に都市計画法に基づく開発行為等の基準に関する条例を一部改正して、市街化調整区域における小湊鐵道駅周辺の開発許可要件を緩和したが、その効果は表れているか、制度の活用状況について伺いたい。

都市部長 市街化調整区域における小湊鐡道駅周辺の開発行為の許可要件につきましては、先ほど議員からもお話がありましたとおり、平成21年9月の条例改正により、緩和規定を新設して、以後約12年が経過しております。
この間、当該緩和規定に基づき行われた開発行為につきましては、令和2年度末時点で、許可件数として176件、住宅等の建築戸数として309戸であり、
年平均の建築戸数は、約26戸となっております。
このことから、住宅等の建築戸数につきましては、一定の効果が見られるものの、条例改正時に想定をしておりました年平均戸数である40戸に対しましては、 約6割にとどまっており、当初の見込みに至っていない状況になっております。

当初見込んでいた効果が表れていないとすれば、人口減少等により、地域コミュニティの維持が困難となっている状況に鑑み、今後さらに許可要件を緩和するなどの見直しの考えはないか、見解を伺いたい。

都市部長 条例改正後の小湊鐡道駅周辺での建築戸数につきましては、先ほど、ご答弁させて頂いた通り、当初の見込みを下回っております。
このような状況の中、平成30年に改訂いたしました市原市都市計画マスタープランでは、「近年の少子高齢化に伴う急激な人口減少等により、市街化調整区域の 既存集落における地域コミュニティの維持を重要な課題として捉え、小湊駅周辺における土地利用のあり方について再検討が必要である」としております。
また、本マスタープランにおいては、目指すべき将来の都市構造として、コンパクト・プラス・ネットワークを掲げ、「既存集落の維持」と「交通ネットワークの強化」を目指しております。
このようなことから、現在、現行規定の問題点等について検証しているところであり、今後につきましては、地域コミュニティの維持に向けて、関係部局と調整を図りながら、さらなる許可要件の緩和も視野に入れながら、実効性のある取組を積極的に進めてまいります。

(2)内陸型の企業立地について
企業の発展すなわち雇用の場があるかどうかが人口の増減に大きな影響を与えるものと言えるのではないか。南いちはらは、以前より雇用が少ないと言われており、この課題解決を図るため、本市の内陸部へ目を向け、内陸部の企業立地に力を入れていくべきと考えるが、見解を伺いたい。
経済部長 「市原市産業振興ビジョン」においては、首都圏への近接性や豊かな地域資源という強みを最大限に活用した新たな産業振興を進め、内陸部への産業誘導を図ることが重要と捉え、広域交通の要所となるインターチェンジ周辺など産業誘導への優位性をもった地域等については、新規企業立地を促進し、産業の多様化を図るものとしております。
特に、市原鶴舞インターチェンジ周辺につきましては、令和6年度に予定されている圏央道の全面開通により、1都4県が環状につながり、これまでの都心へのアクセスに加え、成田空港への利便性も飛躍的に向上するなど、産業誘導への優位性がさらに高まるものと考えております。
このような背景から、企業立地に係る具体の提案や相談も出始めております。
一方で、内陸部へ一定規模の企業立地をする場合、その用地のほとんどは民有地であり、農用地等の土地規制、また、電気・水道等の企業活動には欠かせないインフラの整備などの課題もございます。
これらの課題をはじめ、大規模な企業立地にあたっては、庁内関係部門との連携を密にして取り組んでいくことが重要であると考えております。
現在、市では、移住・定住につなげるための、遊休の公共用地・公共施設の活用や里山ワーケーションの取組により、内陸部への企業誘導を進めているところであり、その動きと連携し、民間の動きをしっかりと捉えながら、好機を捉えた産業誘導につなげてまいります。

(3)ゴルフの街いちはらについて
ゴルフの街いちはらの取組のねらいと今後の進め方について伺いたい。

都市戦略部長 本市のゴルフ場は、議員のご質問にありましたとおり、市南部を中心に、基礎自治体としては日本一となる32カ所33コースを誇り、都心から1時間圏内というアクセスの良さと相まって、本市の大きな強みとなっております。
そこで、全国的にも高い優位性を持つ本市のゴルフ環境に改めて着目し、ゴルフをまちづくりの面から捉え、移住・定住の促進や地域活性化の施策を連動させるなど、ゴルフを戦略の柱として横断的な施策展開を図っていくことにより、持続可能な地域社会を実現することをねらいとしております。
次に、今後の進め方についてお答えいたします。まずは、庁内の部門横断的な推進体制といたしまして、本年4月に「ゴルフのまちいちはら推進プロジェクトチーム」を設置いたしました。
本プロジェクトチームは、都市戦略担当副市長をトップとして、観光、スポーツ、シティプロモーションなど関係各課により構成し、現在、ゴルフを軸とした施策の検討を進めているところであります。
この中では、ゴルフ利用者の特性を捉えた上で、市内在住、市外在住といったターゲットを明確にし、それぞれに効果的な施策を検討してまいります。
一例を申し上げますと、第1のターゲットである市内在住のゴルフ愛好家や潜在的ゴルフ愛好家等に対しましては、本市への愛着の醸成や定住促進に資する施策、第2のターゲットである市外在住のゴルフ愛好家に対しましては、「ゴルフ場巡り33」などによって得たネットワークも活用しながら、交流人口の一層の拡大、さらには関係人口化や移住につながる施策を検討してまいります。
こうした一連の取組に当たりましては、ゴルフ場や民間事業者と連携しながら、あらゆる場面を活用したプロモーションを展開し、ゴルフによる市原創生へとつなげてまいります。

(4)地域公共交通について
近年、担い手不足などの様々な理由により、地域主体によるデマンドタクシー等の導入が進まないこと及び公共交通サービス圏における利便性の向上について、地域住民や交通事業者と具体的な解決策や対応策を検討することとしているが、改めて本年度において、どのように取り組んでいくのか伺いたい。

都市戦略部長 交通空白地域に対しましては、公共交通の導入に向け、地域との対話の中で移動ニーズを把握し、コミュニティバスやデマンドタクシーのほか、新たな移動手段として、地域の皆様がドライバーとなり自家用車を用いた運送を行う自家用有償運送など、地域の特性に応じた交通モードを皆様に提案してまいります。
担い手不足につきましては、既存の団体への運営支援の中で、中心的に運営に携わる役員の高齢化や若い世代の担い手が現れない等の声を伺っております。
市では、今年度、担い手の負担について課題を整理し、運営組織の立上げや事業継続に向けて、担い手不足を解消する取組を進めてまいります。
公共交通サービス圏域の取り組みにつきましては、バス路線の再編に向け、昨年度実施した調査分析業務において、人流データを基に作成した運行計画案を用いて、路線の選定や実証運行の内容、検証方法等について、バス事業者と協議し、利便性の高いバス路線網の形成を目指してまいります。

輸送手段として、デマンドタクシー・コミュニティバス・自家用有償運送の他、地域で運行しているスクールバスや南部保健福祉センターの送迎バス等を活用することについて見解を伺いたい。

都市戦略部長 議員ご指摘のとおり、今ある輸送資源を関係者の理解と協力を得ながら活用することも、地域の足を確保する有効な手段のひとつであると認識しております。
そのようなことから、今年度、デマンドタクシーや新たな交通モードの導入に向けた地域への取り組みのほか、スクールバスや南部保健福祉センターの送迎バスなど、様々な地域輸送資源の活用について、庁内関係部署との連携や関係団体との対話を通じ、運行にあたっての課題を整理し、活用に向けた検討を進めてまいります
3 災害対応について
(1)市原市地域自主避難所登録制度について
本制度を広く周知し、多くの町会に活用していただくことで地域防災力の向上にもつながると考えるが、今後どのように取り組まれるのか伺いたい。

総務部長 災害に備え「自助・共助にもとづく地域防災力」を高めることは、喫緊の課題であります。
こうした中、地域が身近な町会施設等を予め「地域自主避難所」として登録し、地域の実情に即した共助の取り組みによる避難所運営を行う本制度は、令和元年度の一連の災害の経験を踏まえ、防災対策の充実強化を図るために創設したものでございます。
本制度の周知につきましては、4月15日に町会長連合会理事会で説明を実施するとともに、全ての町会長へのリーフレットの送付、広報いちはら6月号や、市ホームページでの紹介など、様々な手段を活用して情報提供を図っているところです。
今後の進め方でございますが、市では申請を受けた地域の町会施設等について、建築基準法の新耐震基準を満たしていること、土砂災害警戒区域等に該当していないこと、施設が浸水想定区域に該当する場合にあっては、風水害時の開設をしないことなど、申請を受けた施設の安全性を審査したうえで登録の適否を判断いたします。
なおその際は、登録を希望する町会等に対し、施設の選定をはじめとした制度の説明や防災情報の提供など、相談・助言等を丁寧に行ってまいります。
地域自主避難所登録制度により、共助の中核をなす町会等の地域防災活動が促進され、安心・安全なまち いちはら の構築に繋がるよう取り組んでまいります。
(2)市民の防災意識の向上について
いつ起こるかわからない災害に備えるためには、災害の経験を風化させないことが大切と考えるが、見解を伺いたい。

総務部長 近年体験したことのない、令和元年台風第15号をはじめとした一連の災害での経験や教訓を風化させず、次世代にしっかりと伝えていくことは、実効性のある防災対策の推進に大変有効であると認識しております。
このことから、令和元年の災害体験を活かす取り組みとして、町会長や市民へのアンケート調査を実施した上で、学識経験者による総合的な評価により「令和元年台風第15号等への災害対応検証報告書」を速やかにとりまとめ、そこで明らかとなった課題等も踏まえ、「市原市地域防災計画」の修正を行ったところであります。
この修正の中では、令和元年の一連の災害対応で有効であった「被災地域への全戸訪問」、「市独自の借り上げ住宅制度」や「公費による土砂混じりがれき撤去」などの実施状況を地域防災計画の本編や資料編に明記し、災害対応の継承として、取り組んだところでございます。
さらに、市職員に対しては、災害対策本部訓練や参集訓練、避難所開設・運営訓練などを実施し、災害経験の継承と災害対応能力の向上にも努めているところです。
しかしながら、市全体の防災力の向上を図るためには、公助だけではなく、自助、共助の取り組みも不可欠であり、市民一人ひとりが、過去の災害を風化させることなく、防災に対する意識を高めることが大切であると考えております。
そのため、市では、毎年、効果的なタイミングで広報いちはら に過去の災害事例を教訓とした防災特集記事を掲載し、地震や風水害への備えを周知する情報発信に取組んでおります。
この他にも、地域の自発的な防災活動をまとめる「地区防災計画」の策定の取り組みの中で、令和元年の災害で実際に経験した事例をワークショップで話し合い、いざというときに適切な行動がとれる訓練手法や、地域の特性に応じた防災対策の整備を支援しております。
今後も、様々な機会を捉えて、災害の経験や教訓を継承することで、市民の防災意識の醸成を図り、地域防災力の向上に繋げてまいります。
4 消防団員の確保策について
(1)消防団員の処遇について
団員確保に向けた取組について検討会での報告などを踏まえ本市ではどのように対応していくのか、見解を伺いたい。

消防局長 消防団は、地域における消防防災体制の中核的存在であり、地域住民の安心、安全を確保するため、果たすべき役割はますます大きくなっております。
一方、社会環境の変化などによりまして、議員ご指摘のとおり、全国の消防団員は減少しており、本市におきましても、これまで、消防団員の年齢上限の撤廃や消防団協力事業所制度の導入など、様々な団員確保策を講じてまいりましたが、全国同様に減少傾向でございます。
国では、時代に合った消防団員の確保策を講じるため、昨年12月に、大学教授を座長とし、消防関係者や学識経験者など10名で構成される、「消防団員の処遇等に関する検討会」を立ち上げ、本年4月には、消防団員の年額報酬や出動手当などの基準を取りまとめた中間報告を示しました。
本市では、団員報酬や出動手当につきまして、平成30年度に、国が示す基準まで、引き上げを行いましたが、今回の中間報告を踏まえ、今後、出動手当の見直しなどを、関係部局と協議してまいります。
また、先月から消防団の運営や訓練のあり方、団員の加入促進広報などを議題とした検討会後半がはじまったところでありますが、検討会の委員には、団員経験を有する小出市長が、行政機関の代表として選任されておりますことから、いち早く情報を得られるとともに、直接、本市消防団の現状を伝えられるなど大きなメリットがございます。
このことから、消防局では、今後も消防団との連携を図りながら、検討会の報告などを踏まえ、入団しやすく、活動しやすい環境を整え、本市の地域特性を活かした消防団員の確保策を講じ、地域防災力の一層の充実・強化に繋げてまいります。